皮膚の7割構成するコラーゲンの合成
日々の健康な生活に欠かせない「鉄」についてくわしい、広島ステーションクリニック理事長の石田清隆医師が提唱するのが、鉄の役割「ONCE(ワンス)」である。
- 酸素の運搬(Oxygen Transportation)
- 神経伝達(Neurotransmission)
- コラーゲン合成(Collagen Synthesis)
- エネルギー産生(Energy Production)
——という4つの役割の頭文字からとられた名称だが、ここではそのうちのコラーゲン合成、エネルギー産生について。
まずはコラーゲン合成、「C」の役割だ。
「私たちの皮膚の70%はコラーゲンでできています。そのコラーゲンのもとであるタンパク質が分解されてできるアミノ酸を合成するための酵素にとって必要なのが鉄とビタミンCです」
コラーゲン不足で爪割れ、抜け毛、皮膚のハリ失われ
コラーゲンが不足することは、爪が割れやすくなったり抜け毛が増えたり、皮膚のハリやツヤが失われたりする原因となる。肌のツヤやハリといった美容面で注目される印象が強いコラーゲンだが、実はコラーゲンは体内のタンパク質の約30%を占める重要な存在でもある。
このコラーゲンの構造は3本のアミノ酸によって作られる独自のらせん構造となっていて、その構造を保つために必要とされる酵素を活性させるのが鉄の役割なのだそうだ。いうならば、お肌の健康にも鉄が密接に関わってくるわけだ。
夕方に動けなくなるのは鉄によるエネルギー産生不足
そして石田医師が「ONCE」の中でも最も重要な要素と位置づけているのが、「E」の要素、エネルギー産生だ。
「われわれにとって必要なエネルギーは鉄がないと十分に生成されません」と力説。そのわけはこうだ。
「そのエネルギーは、食事で摂った糖を材料とする『解糖系』と、細胞内にあるミトコンドリア内のはたらきで作られる『ミトコンドリア系』に分けられます。われわれのエネルギーの約90%がこのミトコンドリア系で作られますが、それを働かせるためには鉄が必要なのです。つまり鉄が不足すると、この働きができなくなるため、エネルギーが生み出せなくなります。疲れやすかったり夕方になるとガス欠のようになって動けなくなる人がいたりするのはそういった理由です」
鉄不足で甘い物を求めダイエットの障害に
特に鉄が不足しがちな若い女性が甘いものを求めることがあるのも、そうした事情が関係している。
「鉄不足によってミトコンドリア系のパフォーマンスが悪くなり、エネルギーは解糖系に頼らざるを得なくなります。そのために糖分が必要となり、本能的に甘いものを求めるわけです。だから、ダイエットの目的で余分な糖分を摂取しないためにも、鉄不足を解消する必要があるのです。鉄をちゃんと補給しないとダイエットは成功しません。鉄不足によって疲れやすくなるため、運動しようというのも無理な話です。逆に言えば、十分な鉄を摂ることで、それらは解消されていくということになります」
ダイエットを目指すためにも、まず目指すべくは鉄不足の解消だ。
エネルギー、やる気、息切れ防止、美肌…多くの悩みは鉄の摂取と「ONCE」を意識することで解消されそうだ。