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長生きするための食事術(3)~認知症遠ざける「ナッツ類と葉物野菜」「青魚の缶詰と豆腐」は最強タッグ

長生きするための食事術(3)~認知症遠ざける「ナッツ類と葉物野菜」「青魚の缶詰と豆腐」は最強タッグ
予防・健康
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健康長寿の最重要課題は「認知症にならない」

「脳と腸が密接な関係で結ばれている」ことから、「腸」を健康にする食事術の重要性を説く鎌田實医師。今回はもう一方の「脳」がテーマだ。

健康長寿を果たすうえで「認知症にならない」という目標は最重要課題 。そのために必要な食事の考え方とは—。

生活習慣病を予防すれば認知症を回避

じつは私自身、最近は人の名前が思い出せなくて困ることが増えてきました。それだけに「脳の健康」は、他人事ではありません。

認知症はある日突然発症する病気ではなく、長年の生活習慣の蓄積で出来上がっていく生活習慣病。それだけに日常生活を改善すれば、発症を回避できる可能性が高いといえます。

「ブレインフード」で脳に栄養を届ける

中でも食生活によるアプローチは重要で、私は次の「3大原則」を強く推奨しています。

  1. 「ブレインフード」で脳に栄養を届ける
  2. 野菜は1日350グラム
  3. 糖質を最後に食べる「カーボラスト」の実践

ブレインフードとは、脳を活性化させる食材のことで、(善玉コレステロールの)EPAやDHAが豊富な青魚、脳の神経伝達物質をサポートするオメガ3脂肪酸を含むナッツ類などが代表的です。

他にも記憶力や集中力を高める大豆レシチンを含む大豆食品、抗酸化作用の強いセサミンを含むごま、脳の神経細胞を活性化させる作用を持つα—リノレン酸はえごま油やアマニ油にも含まれているので、積極的に摂取してほしいと思います。

ブレインフードの組み合わせ

またこうしたブレインフードは、単体で食べるだけでなく、「組み合わせ」により相乗効果を狙うこともできます。

「ナッツ類と葉物野菜」はビタミン補給メニューとして最強のタッグで、ナッツにホウレンソウ、あるいはモロヘイヤを組み合わせるだけで簡単に摂ることができます。

それから簡単メニューとしてオススメなのが、「青魚の缶詰と豆腐」の組み合わせ。イワシなどの青魚に含まれるコエンザイムQ10に豆腐のビタミンEが加わると、抗酸化作用がパワーアップされます。

緑黄色野菜ジュースは脳活に有効

(2)の「1日350グラムの野菜」を実践するうえで、利用価値が大きいのが野菜ジュースです。脳の酸化を防ぐ働きを持つポリフェノールが豊富な緑黄色野菜ジュースは脳活には有効なので、効果的に利用するといいでしょう。

食事の順番変えて脳の慢性炎症予防

また、(3)の「カーボラスト」とは、糖質や炭水化物を食事の最後に食べることで、血糖値の上昇を穏やかにする取り組みのこと。ご飯や麺類などをなるべく最後に回すことで、脳の慢性炎症の予防を目指したいものです。

こうしてみていくと、脳活に役立つ食事は「手軽でおいしい」という特徴があるようです。ぜひ試してみてください。

解説
医師、作家、諏訪中央病院名誉院長
鎌田 實
医師、作家。諏訪中央病院名誉院長。1948年6月28日、東京都生まれ。75歳。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院入職。1988年、院長。2005年から現職。日本チェルノブイリ連帯基金理事長。東京医科歯科大学臨床教授他。著書に『鎌田式長生き食事術』(アスコム刊)など。
執筆者
医療ジャーナリスト
長田 昭二
医療ジャーナリスト。日本医学ジャーナリスト協会会員。1965年、東京都生まれ。日本大学農獣医学部卒業。医療経営専門誌副編集長を経て、2000年からフリー。現在、「夕刊フジ」「文藝春秋」「週刊文春」「文春オンライン」などで医療記事を中心に執筆。著書に『あきらめない男 重度障害を負った医師・原田雷太郎』(文藝春秋刊)他。