花粉症、ドライアイの並行治療で重症化予防
「花粉症とドライアイでは治療法が異なります。2つの治療を並行することで、重症化の予防も可能になります。目がかゆい、痛い、充血するなどの症状は、花粉症やドライアイ以外の目の病気のこともあります。一度は眼科で診断をきちんと受けたうえで、市販薬は活用しましょう」
市販薬の防腐剤でドライアイ悪化も
花粉症によるアレルギー性結膜炎は、スギ花粉などに対する結膜(まぶたの裏から白目を覆う膜)でのアレルギー反応が原因である。治療では、抗アレルギー点眼薬が処方され、重症の場合は、免疫の働きを抑えるステロイド点眼薬も併用する。
「抗アレルギー薬は市販薬にもあります。ただし、市販薬には防腐剤が入っていることが多いため、ドライアイを併存している人が使用すると、ドライアイが悪化しやすいので注意が必要です」
ドライアイ用点眼薬を
ドライアイでは、まばたき回数の減少などで目の表面の涙液層が減少し、目の保護機能が低下している。この状態で防腐剤の入った点眼薬をさすと、防腐剤が目の表面に留まることで、黒目の角膜などに炎症を起こすリスクがあるのだ。
「抗アレルギー薬など花粉症の点眼薬にプラス、ドライアイ用の成分・ジクアホソルナトリウムなどの点眼薬を併用すると良いと思います」
ヒアルロン酸ナトリウムのドライアイ用の点眼薬は、薬局で購入することが可能だ。加えて、人工涙液もドライアイ用として以前から活用されている。
水道水で流すのはNG
「花粉症とドライアイの連携した治療が重要となります。どちらかの症状が悪化すれば、もう一方も症状が悪化していくからです。できれば、花粉が飛び始めたと感じたら、早めに対処してください」
ところで、花粉症の時期には、花粉で目がゴロゴロして違和感があったときに、水道水で洗い流そうとする人がいる。
この行為は実は危険なのだ。
「水道水には(微生物の)アカントアメーバーが生息しているため、目を洗うとアカントアメーバー角膜炎を引き起こすことがあるので注意が必要です。洗眼用の液体や点眼薬を適切に使用してください」
花粉症とドライアイのダブル症状を回避しようとして、角膜炎を起こしては元も子もない。悪化させないためにも、できるだけ医療機関を受診した上で、適切に対処することを心がけよう。
花粉症におけるアレルギー性結膜炎の有病率
- アレルギー性結膜炎(48.7%)
- スギ花粉によるアレルギー性結膜炎(37.4%)
- 他の花粉等によるアレルギー性結膜炎(8%)
- 通年性アレルギー性結膜炎(14%)
※環境省『花粉症環境保健マニュアル2022』から