女性は男性よりも肩こりが多い
寒さに加え、パソコン作業など同じ姿勢で血流が悪くなると、肩や首がこってつらい症状につながります。国内約980万人が肩こりに悩み、女性は男性の約2倍もいます(厚労省2022年『国民生活基礎調査』)。
「女性は男性よりも筋肉量が少なく、体重の10分の1ほどある頭を支えなければなりません。同じ姿勢や重いカバンを持つなど肩に負荷をかけることで、さらに肩こりを起こしやすいのです」
こう話す千葉大学墨田漢方研究所の尾崎さゆり鍼灸師は、数多くの肩こり患者を治療し、改善のアドバイスを行っています。
血流悪くなると悪循環に
「筋肉が緊張して血流が悪くなると老廃物などが停滞し、首や肩の神経を刺激することでコリや痛みの症状を引き起こします。肩こりの症状で筋肉が緊張してさらに血流が悪くなると、ますます症状がひどくなるといった負の悪循環につながります」
肩こりには血行不良が関係するため、日頃からストレッチを習慣化して肩の筋肉の緊張をほぐし、血行を良くすることが一助になります。また、重い頭を無理なく支えるために運動習慣で筋肉を養うことも大切です。
厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によれば、運動習慣の改善の意思について、「関心はあるが改善するつもりはない」との回答が最多でした。
肩や首を回すストレッチだけでも
「運動しなければと身構えると、取り組むのが難しい人もいますが、肩や首を回すストレッチだけでも役立ちます。女性の場合、乳房の重みも肩に負荷をかけるため、サイズの合わないブラジャーを着けている場合なども、肩こりを引き起こします」
肩こりの放置は、頭痛や吐き気などの症状や首の骨の頸椎を痛め、五十肩(肩関節周囲炎)を招き、痛みで肩の可動域が悪くなって、QOL(生活の質)を低下させるので注意しましょう。
「肩こり予防には、ツボによるセルフケアもお勧め。『合谷(ごうこく)』は、リラックス効果もあります。『曲池(きょくち)』は、血行を良くして肌への血流もよくなるため、美容効果も期待できます」
30分から1時間に1回の肩回しとツボ刺激で、肩こりを退けましょう。
肩こりに効くツボ
合谷(ごうこく)
- 左手の親指と人さし指の骨が交差した部分に右手の親指をあてて押します
- 人さし指へ向かって垂直に少しずつ押していき、痛みを感じるくぼんだところが合谷のツボです
- 親指の腹を使って、気持ちいいと感じる程度の強さでゆっくり押しましょう
- 左手のツボを押したのちに、右手の合谷のツボも(1)~(3)を参考に探して押しましょう
曲池(きょくち)
- 左ひじを曲げるとシワが生じます。そのシワの外側の端が曲池です
- シワの先端部分を親指で押して場所を少しずつずらし、少し痛い部分が曲池です
- 親指の腹を使って、気持ちいいと感じる程度の強さでゆっくり押しましょう
- 左ひじのツボを押したのちに、右ひじの曲池のツボも(1)~(3)を参考に探して押しましょう