誰もが手軽に挑戦できる「予防術」
人間の“視野”に注目したユニークな認知症予防術が学べる本が話題。眼科医、平松類氏=写真=による『1日3分見るだけで認知症が予防できるドリル』(SBクリエイティブ刊、1430円)では、誰もが手軽に挑戦できる「予防術」を公開している。
記憶力、集中力、判断力などの衰えは、みんなが通る「老化現象」。この本では、それらを克服するための「脳知覚トレーニング」と呼ばれる機能訓練を提案する。ハーバード大学やフロリダ大学など世界のトップクラスの研究機関で「脳全体の活性に有効」と報告された、科学的根拠を持つ取り組み「有効視野」に注目している。
年齢とともに狭まる「有効視野」を広げる
有効視野とは、単に視界で捉えているだけの視野ではなく、そこから得られる情報を使って“有効に動ける視野”のことだ。一般的な視野より範囲が狭く、年齢とともにその範囲は狭まっていく(別項参照)。本書はこの有効視野を広げることで、脳の活性化を図ることを目的としている。メディアでも活躍する著者の平松氏が執筆の経緯を語る。
「『運転と視野』について研究をしていたとき、有効視野が脳との関連性で重要であること、そして脳知覚トレーニングでよくなることを知りました。一般の人にどうにかして伝えられないかと考え、ドリルに行き着いたのです」
「点」を見つめながらクイズに答えると…
本書に掲載された写真の中央にある「点」を見つめながら、ページごとに課せられたクイズに答えていく。目の焦点は動かさず、なるべく広範囲の情報を得る訓練をすることで「有効視野」が広がり、脳の機能が向上して、老化現象と呼ばれるさまざまな悩みを改善しよう—という仕組みだ。
「このトレーニングにより有効視野が改善した人からは、『視野もうまく使えるようになるので、思考もしっかりして記憶力もよくなり、日常生活全体の質が高まった』という言葉をよく聞きました」と著者。
毎日3分、ドリルに取り組むだけ
トレーニングは極めて簡単で、毎日3分程度、ドリルの課題に取り組むだけ。難しい運動や専用の道具を購入する必要もない。手元の新聞紙面を使って、似たようなトレーニングも可能だ。
- まず紙面の中心を両目で見て、そこに書かれている文字を読む
- そのまま目を動かさず「視点の中心」から少し離れたところにある文字を読む
- さらに視点は動かさず、視野の範囲を広げて、「文字が読めなくなるところ」を探す
- 「文字が読めなくなるところ」と「ギリギリ読めるところ」の境にある文字を読む努力をする(実際に読めなくてもOK)
「認知症予防にも効果があるので、『心配だけれども面倒なことはしたくない』という人や、『人の名前が出にくくなった』『運転に自信がなくなってきた』という人はぜひ」と著者。試してみる価値はありそうだ。
有効視野を鍛えて得られる健康上のメリット
- 健康寿命の延長
- 注意力の向上
- 記憶力の向上
- 集中力の高まり
- 判断力の高まり
- 交通事故の防止
- 認知症予防
- 思考力のアップ
- 反射神経の高まり