暖かい日の後に急に寒くなると血圧急上昇
気象予報にも健康のヒントがあります。最高気温・最低気温の予報は脳梗塞・心筋梗塞の予防につながる可能性があり、外出予定があるシニアは注意すべきです。
特に警戒すべき要因があります。寒暖差によって大きく影響を受ける血圧の変動(1日や短期間に血圧が上下に激しく動くこと)です。
平成横浜病院センター長(東邦大学名誉教授)の東丸貴信医師は、かねてから血圧変動に注目してきました。
「暖かい日の後に急に寒くなると、血管が収縮して血圧が急上昇しますが、悪いのはそれだけはありません。血圧が高い人では、寒暖差によって、血圧変動も血管に負担を与えて悪影響につながります」
上の血圧(収縮期血圧)の変動は動脈硬化に影響
このことは、最新の海外の研究でも示されています。オーストラリアの研究によると、上の血圧(収縮期血圧)の大きな変動は動脈硬化にも関連し、心血管疾患のリスク増加につながる可能性が示唆されたのです。
研究は認知症のない60~79歳の70人を対象に行われ、24時間および4日間において血圧変動の影響を調査しました。その結果、血圧変動は認知機能の低下と関連し、さらに上の血圧の短期的な大きな変動は動脈硬化度の高さと関連していることが分かりました。
研究者は「通常の治療では高血圧に焦点が置かれ、血圧変動は無視されているのが現状。しかし、血圧は短期的にも長期的にも変動し得るものであり、そうした変動が認知症や動脈硬化のリスクを高めているようです」と話しています。
朝の血圧測定が重要
動脈硬化が進行している人は、脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクが高いことが知られています。東丸医師は「通常、血圧は1日の中で変動するものですが、数値に大きな変動がある人は、動脈硬化の進行を疑った方がいい。海外の別の研究でも血圧変動の大きい人は少ない人に比べ、1.5倍から2倍の発症リスクがあると報告されています」と指摘します。
その理由には、血圧サージ(急激な血圧の変動)が関係しています。「血液サージは血管にダメージを与えて、動脈硬化を進行させます。動脈壁が硬くなり壁の形態も変わってきます。血管の内側の壁にプラークができ、そこに血栓ができやすくなります。血栓が詰まったり飛んだりすると心筋梗塞や脳梗塞が生じるのです」と東丸医師。
寒い時期に血圧が上昇するメカニズムは、血圧を調節する交感神経が刺激されて血管を収縮させることが主な原因とされています=イラスト参照。
自分の血圧の動向を知るためには、医療機関や健診だけでなく、自宅でも定期的に血圧を測定することが大切です。特に朝の測定がカギを握るそうです。
「朝、起床後の血圧が135/85㎜Hgを超える人は、脳卒中(脳梗塞など)のリスクが高くなります。高血圧の人は、朝の血圧測定がとくに重要でしょう」と東丸医師はアドバイスします。寒暖差で血圧変動が大きくなる傾向が強まっているこの冬、自分の血圧の状態を知って、健康に乗り切りましょう。