睡眠・不眠

良い眠りのために(5)~熟睡の3大NGは「就寝前のニュース」「ルームウエア」「90分の倍数睡眠」

良い眠りのために(5)~熟睡の3大NGは「就寝前のニュース」「ルームウエア」「90分の倍数睡眠」
予防・健康
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ニュースが脳に強い刺激…眠れない

睡眠の質をよくするための生活習慣や環境を整える方法はいろいろありますが、ここでは「レム睡眠を減らさない」方法を紹介しましょう。

睡眠コンサルタントで、日本睡眠学会員の友野なおさんは、スマホのアプリなどを使って睡眠サイクルを計測した結果として、3つの“悪いサイクル”を教えてくれました。①眠りが浅く熟睡感が得られない②睡眠中に何度も目覚める③起床時にすっきり起きられない、というサイクルです。

友野さんは①や②のサイクルを示す人に多いのは、ストレスが多いタイプだといいます。

「このタイプの人は、まずは夜、テレビやスマホでニュースを見ないようにしてください。ニュースそのものが、暗い・悲しい・怖いものが多いためです。視覚からの情報はインパクトが強いので、脳に強くインプットされてしまいます」

運動も大切です。

「運動を取り入れることによって睡眠がよくなることについては、多くの科学的な報告があります。頭は疲れているけれども体は疲れていない、というアンバランスも睡眠に影響するので、それを解消するためにも運動を取り入れてください。理想は毎日30分ですが、週に3回からのスタートでも大丈夫です」

前述のサイクルの②については、寝具環境を見直してほしいと話します。「寝具が体に合っていないと、体がしびれたり痛んだりするために目が覚めてしまう人が多くいます。寝具には寿命があり、例えばマットレスの寿命は約10年、枕は中の素材によりますが、1.5~3年を目安に見直すことも大事です」

スウェットやジャージー、ルームウエアで寝るのもNG

ちなみに、寝るときにスウェットやジャージー、ルームウエアはNGだそうです。

「何を着ていてもソファでも、バタンキューでどこでも眠れる、という人は危険です。日頃眠れていないサインかもしれません」

③の朝すっきり起きられないタイプは、生活のリズムが乱れている怖れがあります。「同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体内時計のリズムを整えることが大切です。強いていえば、起きる時間を一定にするほうが体のリズムを整える上では大事。極端なことをいえば、何時に寝てもいいから同じ時間に起きるほうがいい」

「90分の倍数はOK」も


どうしても睡眠時間を削らなければいけない場合、1回ずつのレム睡眠とノンレム睡眠を1セット約90分として、その倍数の睡眠時間で起きるとまだマシという説がありますが、これは勧められないそうです。たとえば3時間、4時間半の単位で起きるのでは、睡眠後半により多くなるレム睡眠が取れなくなるためです。

「レム睡眠とノンレム睡眠をバランスよく取ることが、睡眠の質に直結します。睡眠時間が長くてもダラダラ横になっているだけでは、質が良いとは言えません。睡眠時間が5時間を切ると、さまざまな病気のリスクが上がります。睡眠の悩みは、体の悩みよりも心が休まらない悩みのほうが多いように感じます。そのためしっかりとレム睡眠を取って、感情や思考を整えてほしいのです」

そして起きたらどんな天気でも窓辺に行って、太陽の光を15秒間浴びましょう。そのときに睡眠ホルモン、メラトニンの分泌が止まり、日中の活動を支えるセロトニンの分泌が始まります。

そして、約15時間でメラトニンが分泌されて眠くなる、という予約のスイッチが押されます。「とくに秋冬は日照時間が短いので、太陽の光を意識的に浴びてほしいと思います」

自分にとって、よりよい睡眠環境を作ることが大切です。

友野なお(ともの・なお)

 


睡眠コンサルタント、SEA Trinity代表取締役。千葉大学大学院医学薬学府先進予防医学医学博士課程。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会正会員。

執筆者
医療ジャーナリスト
石井 悦子
医療ライター、編集者。1991年、明治大学文学部卒業。ビジネス書・実用書系出版社編集部勤務を経てフリーランスに。「夕刊フジ」「週刊朝日」等で医療・健康系の記事を担当。多くの医師から指導を受け、現在に至る。新聞、週刊誌、ムック、単行本、ウェブでの執筆多数。興味のある分野は微生物・発酵。そのつながりで、趣味は腸活、ガーデニングの土作り、製パン。