年齢とともに気になる肌トラブル。中でも「かゆみ」に悩まされている人は少なくないだろう。秋冬は乾燥しやすく、かゆみが出やすい季節。乾燥からくるかゆみを防ぐためにも原因と対策を知っておこう。
なぜ乾燥するとかゆみが出るのか
乾燥からくる肌のかゆみは、ひどい場合は眠れないくらいつらい。就寝中にかきむしって、朝起きると肌が傷ついていることもある。
人の皮膚は大きく分けて表皮・真皮・皮下組織の3つの層に分かれており、表皮の一番外側の層は「角層」と呼ばれる細胞で覆われている。角層の役割は肌のうるおいを保ち、外部刺激から守ること。そのため、角層の中には保湿成分があり、その保湿成分が水分を保持することでバリアの役割を果たしている。
ところが、この保湿成分は手を洗ったり入浴したりすると、簡単に流れ落ちてしまう。ここでケアをせず放置すると乾燥が進み、角層がどんどんとめくれ上がって外部刺激に対して肌が敏感な状態になり、最終的にかゆみを感じることがある。
また、角層は厚さが約0.02ミリしかないため、爪を立ててかいてしまうと簡単にダメージを受けてしまう。そうなると、余計にバリア機能が乱れ、刺激やかゆみを感じやすくなる。かゆいからかく、かくとさらにかゆくなる、という“かゆみスパイラル”に陥ってしまうのだ。
シニアほど保湿が重要
では、乾燥からくるかゆみを防ぐにはどうすればいいのか。「特にお風呂上がりなどは、流れ落ちてしまった保湿成分を補ってあげることが重要です」と話すのはユースキン製薬=別項=の企画部マネジャー、髙島俊継氏(49)=顔写真=だ。
「年齢を重ねるほど、入浴後の保湿ケアをおっくうと感じる人が増える傾向にあります。むしろ保湿成分が不足しがちなシニア層こそ、しっかりと保湿ケアするべきなのです」(髙島氏)
保湿ケアはドラッグストアなどで購入できる保湿クリームやローションを塗るのが手軽で効果的。洗面所や脱衣所に保湿ケア製品を置いておき、まずは入浴後の保湿ケアを習慣にするといいだろう。
また、保湿というと主に顔に行うイメージがあるかもしれないが、かゆみ予防の観点で考えれば体も忘れてはいけない。ユースキン製薬の調査によると、かゆみが気になる部位で圧倒的に多いのが「背中」だという。
予防も治療も早めに
そのほかにも日常的な乾燥対策を行いたい。たとえばエアコンをつけるときは加湿器を使うことも重要だ。
「肌にとって最適な湿度は約60%といわれています。秋冬は乾燥しやすく、エアコンをつけると湿度は約20%程度まで下がってしまうので、加湿器を活用して湿度を高く保ちましょう」(髙島氏)
衣類にも気をつかいたい。フリース素材などの化学繊維は暖かく機能的ではあるが、肌に対して刺激になる場合もあるという。もし肌触りが気になるなら、綿など刺激の少ない素材を選ぼう。
それでもかゆみが出たり、現在すでにかゆみに悩まされたりしているのであれば、かゆみに効く治療薬を使用しよう。ドラッグストアなどには、かゆみを止めながら保湿できる製品も並んでいる。ポイントはしっかりと「かゆみを治す」と表記してある製品を選ぶことだ。
肌のトラブルは生活の質を著しく低下する。本格的な乾燥シーズンの前にぜひ対処を。
ユースキン
1955年の創業以来、スキンケア製品を開発・販売。社名は「あなたの肌」に由来する。クリームやローションだけでなく、背中など塗りにくい部位に使える「セヌール」などユニークな製品も。長年採用されているミッフィーデザインは若い世代に支持されている。
https://www.yuskin.co.jp