内閣府が実施した「消費動向調査」によると、世帯ベースでのスマートフォン普及率は89.9%。つまり10軒のうち9軒にスマホがある。一方で単身世帯・世帯主男女別・年齢階層別でのスマホ普及率を見ると、最も高い30代の98.9%に対して、60代は81.8%、70代以上は65.2%と急落する。そんな高齢者層に向け「スマホを使いこなせれば人生快適!」と指南する本が話題だ。
シニア層の苦手意識をなくす
『老いてこそ、スマホ』(主婦と生活社刊、1650円)がそれだ。著者の牧壮氏=写真上=は高齢者のインターネット活用を支援する活動に従事。共著の増田由紀氏=同下=もYouTubeなどでスマホの新しい使い方を発信し、2人ともデジタル庁の「デジタル推進委員」に任命されている。
同社の担当編集者、新井晋氏が語る。
「80代の両親にスマホを持たせようとしたものの、結局は挫折。その後コロナ禍となった時、『あの時あきらめなければ、この非常時でもコミュニケーションがしっかり取れたのに…』と悔やんだのがきっかけです。そもそも50代の私だって堂々と使いこなせている、とは言えないのが実情ですから」
そこで、シニア層の苦手意識を無くし、スマホを最低限使いこなせるための指南を請け負ってくれるのがこの本なのだ。
高齢者の7つの悩みを解決
たとえば「スマホ用語は難しすぎる」という悩みを持つ人は多い。まるで理解させないように意地悪されているような感覚に陥る。そんな人に向けて著者は、頻出する用語を本書で取り上げるにあたり、「スワップ」を「なぞる」、「アップデート」は「よい状態にする」などと日本語に置き換えて覚えると理解しやすい—と説く。
物忘れが多い人はスマホの「メモ」や「カレンダー」などアプリを有効活用し、老眼の人は指2本で画面を拡大する「ピンチアウト」というワザを身に付ければラクにスマホを使いこなせる。
高齢者の多くが持つ「物忘れ」「孤独感」など7つの悩み(別項)は、スマホを使いこなすことで解決できる。
「本のタイトルこそ『老いてこそ、スマホ』ですが、じつは50~60代にも役立つ内容です。私自身もこの本を担当したことで、音声入力や健康アプリを使いこなせるようになりました。オンライン決済用に専用口座を一つ作っておくという知識も、非常に有用でした」(新井氏)
災害発生時に、何より役に立つのはスマホだ。地方に暮らす両親が心配な人は、まずこの本を送ってあげるのも手だ。
好き嫌いは別として、スマホなしで快適な生活が送りづらい社会が出来上がってしまったのは事実。ここは思い切って最初の1ページを開いてみてはどうか。
高齢者に多い「7つの悩み」はスマホで解決できる!
- 物忘れが多くなった
- 孤独感や孤立感がある
- 災害時に頼れる人がいない
- 息子や娘とギクシャクする
- 日々の買い物がおっくう
- 体力が衰えて体のあちこちが不調
- することがなくて毎日が退屈