食欲の秋は、“秋太り”の季節でもある。肥満やメタボは、糖尿病などの生活習慣病を経て心筋梗塞や脳梗塞のリスク要因だ。ダイエットに何度も失敗した人には、日立製作所が社を挙げて取り組んでいる「はらすまダイエット」なら、無理なくやせられるかもしれない。このダイエット方法を考案した日立健康管理センタ長の中川徹医師に取り組み方を伝授してもらおう。
“はらをスマートにする”から命名
「働き盛りから定年前後の男女にとって、努力次第でそのリスクを減らせるのが心筋梗塞や脳梗塞です。ダイエットで体重を減らせば、そのリスクはぐんと下がります。私たちは日立の人間ドックの検査にひっかかった受検者にこのことを伝え、希望すれば、はらすまダイエットを一緒に進めていきます」
中川医師はそう語る。
文字通り“はらをスマートにする”ことから命名されたこのダイエット法は、日立製作所やグループ企業の従業員らを対象として始まり、のべ5000人が参加したという。体重を減らすことができた成功率は70%以上。「奇跡のダイエット方法」として評判が評判を呼び、いまや他社の健保でも取り入れているところが増えている。
やみくもにダイエットや運動に取り組んでも効果はあまり期待できない。はらすまは体重とカロリーの関係を科学的根拠に基づき分析し、無理なく効果的な減量方法に導くのが特徴だ。中川医師の説明によると、具体的には以下のように行われる。
短期間ではなく、90日間で減量目標を5%と設定し、個人の体重に合わせて1日の減量目標を計算する。体重が80キロの人なら、80キロ×0.05(5%)=4キロ。90日間で4キロ減が目標となる。1日当たりの必要減量体重をグラムに換算すると、44.4グラムである。
100Kcal減らす「カード」用意
さらに、体重1キロ(1000グラム)を減らすには、7000キロカロリー減が必要と分かっている。90日間のカロリー減目標は、体重4キロ×7000キロカロリー=2万8000キロカロリーとなる。1日当たりのカロリー減目標は、2万8000キロカロリー÷90日=311キロカロリーと算出される。
「はらすまには、主食、間食、運動の3つのジャンルで100キロカロリーずつ減らすカードが多数用意されています。カードには、何の料理や菓子類の摂取量をどのくらい減らすと100キロカロリー減らせるかがイラストとともに記載されており、参加者は一目瞭然です」
たとえば、カードにはラーメンなら1分の1杯分を、かつ丼なら8分の1杯分を、間食ではサラダせんべい2枚減らせば、それぞれ100キロカロリーを減らせると書いてある。運動なら、普通歩行を24分すれば、100キロカロリーを減らせる。
「缶コーヒーは好物だから、その量は減らしたくない。代わりに菓子パンなら減らすことはできるかもしれない。そのように自分ができそうなカードを3枚(計300キロカロリー)選んで実践すればいいのです」とアドバイスする。
はらすまなら、できるかもしれない…。そう思ったいまがチャンスだ。
「はらすまダイエット」の進め方
【体重が80キロの人の場合】
- 体重の5%減→90日間で4キロ減
- 1日当たりの必要減量体重→44.4グラム
- 1日当たりのカロリー減目標→311キロカロリー