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更年期のイライラの裏に認知症早期のサインが隠れている!?

更年期のイライラの裏に認知症早期のサインが隠れている!?
エイジングケア
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中年期以降、脳の機能は徐々に低下

更年期になるとホルモンバランスの乱れで心身の不調が現れやすくなります。今まで取り組んでいた趣味への意欲は薄れ、ちょっとしたことでもイライラしがちです。加えて、約束事をすっかり忘れ、日時を間違えたりするようなことは、年をとれば誰でも起こりえると思うでしょう。このような症状に、認知症の早期段階のサインが隠れていることがあります。

「認知症は高齢になって突然発症するわけではありません。中年期以降、徐々に脳の機能が低下していくのです。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症といわれる中、早い段階で予防や改善に努めること大切です」

こう話すのは、精神神経科専門医・杏林大学名誉教授の古賀良彦医師。うつ病や睡眠障害、認知症などの病気の診断・治療を行う一方、脳と香りなど五感と脳に関わる研究などを数多く手がけ、認知症予防の啓蒙活動にも力を注いでいます。

「早い段階から認知症を予防にするには、比較的若い頃から脳を活性化することが重要です。そのひとつとして、勝ち負けの伴うゲームは役立ちます。ゲームといってもデジタルではなく、できれば対面で家族とできるボードゲームなどがよいでしょう」

一般的な認知症予防では、(1)食事(2)運動(3)社会活動の参加—が重要といわれています。仕事をしていると自然に社会参加につながり、食生活の見直しは、生活習慣病などの改善・予防で、すでに実践している人もいるでしょう。それでも、脳の機能は年を重ねるうちに衰えていきます。手軽にできるゲームは、予防の一助になるのです。

ボードゲームでファインティングスピリットを活性化

「勝ち負けが伴うと、脳は活性化します。ファイティングスピリットがよいのです。とはいえ、ゲームにのめり込み過ぎるとゲーム依存に陥りやすいので、簡単に短時間楽しめるボードゲームがお勧めです」

ボードゲームのような単純な戦いでも、勝ちを意識すると脳の前頭葉が活発に働きます。前頭葉は、脳の前側に位置し、運動や思考、判断能力、集中力など、さまざまな脳の働きに関わるのです。前頭葉が活性化すると、記憶を司る海馬なども刺激され、脳全体の働きを向上させると考えられているのです。

「チャレンジすることも大切です。新しいことにチャレンジして目標を達成することは、脳にとってよい刺激になります」

更年期で心身が不調になると「何もする気が起きない」こともありますが、家族とちょっと楽しめそうなゲームに挑戦してみましょう。ボードゲームが難しければ、川柳などを作るのも良いそうです。

「家族や友人に川柳を披露して、ほめられると脳は活性化します。ただし、ストレスは脳に悪影響を及ぼすので、ご自身を追い込み過ぎないようにしましょう。完璧は目指さず、『いい加減さ』が大切です」

「勝てたらラッキー」「できたらうれしい」など、気持ちに余裕を持たせることがコツ。ちょっとした楽しみを見つけ、脳を活性化させる習慣を早い段階で身に着けることが、認知症予防につながります。

解説
杏林大学医学部名誉教授
古賀 良彦
慶應義塾大学医学部卒業。1990年、杏林大学医学部精神神経科学教室助教授、1999年、同主任教授、2016年、杏林大学医学部名誉教授に就任。医学博士、日本精神神経学会認定専門医、日本臨床神経生理学会認定医・名誉会員、日本催眠学会名誉理事長。著書・テレビ出演多数。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。