目(眼科) かすみ目の対処法

かすみ目の対処法(3)~まぶたの汚れを落として老眼、眼病予防

かすみ目の対処法(3)~まぶたの汚れを落として老眼、眼病予防
予防・健康
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汚れたまぶたでは涙の質が落ちる

国内で約530万人を悩ます「かすみ目」は、スマートフォンやパソコンなどの長時間使用が関係している。画面の凝視でまばたきが減りドライアイで、角膜を覆う涙層が失われることが主な原因だ。ほかにも見逃せない原因がある。

「涙の油分を作るマイボーム腺が塞がることで、マイボーム腺機能不全に陥っている人が多い。涙はムチン、水分、油分の3層から成り立ちますが、マイボーム機能不全で涙の質が悪くなると、炎症やドライアイを起こしやすくなるのです」

こう説明するのは、「おおたけ眼科」(神奈川県)の綾木雅彦院長。約20万人の患者の診断・治療を行う一方、マイボーム腺機能不全などの研究にも力を注いでいる。

「まばたきは、涙によって目の表面をきれいにするワイパーのような役割があります。マイボーム機能不全で涙の質が低下していると、汚れた状態でワイパーを使用しているようになるのです」

マイボーム腺の開口部は、まぶたや目の下のまつ毛の生え際に連なる。まぶたを閉じていたときに、油分が目の表面に均一に分泌され、涙の表層を覆って涙の水分を逃さない仕組み。マイボーム腺機能不全に陥ると、開口部が詰まることで、まぶたを閉じても油分が十分に分泌されない。油分が減ると目の表面の水分は蒸発しやすくなり、ドライアイになるのだ。

まず、まぶたの際をやさしく洗う

国内のドライアイ患者は約2000万人以上と推計され、知らぬ間にドライアイで視力が低下している人もいるという。

「マイボーム腺機能不全は男性が多い。いわゆる目の汚れで油分が固まり、マイボーム腺の開口部が詰まってしまうのです。目の検査をするとすぐにわかります。しかし患者さんは、目の炎症などの原因が、まぶたの汚れとは気づいていないのです」

女性は、アイメークのメイク落としを適切に行えば、まぶたの清潔を保つことが可能だ。しかし、男性はまぶたを意識して洗う機会が少ない。

「まぶたの際をやさしく洗ってください。患者さんには、涙と同じ成分の『まぶたクレンジング剤』を使用し、眼瞼清掃(がんけんせいそう=リッドハイジーン)を行っています」

リッドハイジーンとは、まぶたの際(きわ)の洗浄のこと。「まぶたクレンジング剤」はさまざまな製品が市販されている。適切にまぶたの際を洗うとマイボーム腺の目詰まりが解消され、涙が正常に機能し始め、すぐに視界がクリアになって目の充血なども治まりやすいという。

「リッドハイジーンは男性にぜひやっていただきたい方法です。老眼だけでなく、ドライアイや疲れ目、かすみ目、涙目予防にもつながります」

まぶたの清潔を保つことが、眼病予防に役立つことを覚えておこう。

綾木院長お勧め「まぶたの洗浄法」

 

  1. 朝晩の洗顔時、もしくは、まぶたクレンジング剤を使用
  2. 両手の人さし指と中指を目頭にそっと置く=写真上
  3. まつげの際に沿って指を左右に動かし、やさしくこすり洗いをしていく=写真下
  4. まぶたクレンジング剤の後はティッシュで軽くふき取る

※シャワーを目に当てながら行う「アイシャワー」もよい。ただし、シャワーの時には、お湯が熱すぎないように注意する

解説
おおたけ眼科院長
綾木 雅彦
おおたけ眼科院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室講師。医学博士。1982年慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学留学、昭和大学医学部眼科准教授などを経て現職。日本眼科学会専門医や日本抗加齢医学学会専門医、睡眠健康指導士などの資格を有し、ブルーライト研究の第一人者。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。