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夜間頻尿治療でアンチエイジング(5)~排尿健診を定期的に行い「若さ」を維持する

夜間頻尿治療でアンチエイジング(5)~排尿健診を定期的に行い「若さ」を維持する
病気・治療
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排尿障害の改善が健康長寿につながる

一般的に「夜間排尿3回は、年のせい」といわれていますが、6000人以上の調査で、夜間に3回以上排尿に行く男性の場合、死亡率が1.9倍になるとの報告もあります。

年をとると前立腺肥大症で頻尿を起こしやすく、夜間のトイレ回数は増えます。しかし、「年のせい」と放置していると、男性ホルモンのテストステロン値まで低下し、男性力が下がります。

テストステロンの減少だけでも筋力や活力は低下しますが、頻尿で外出もままなくなると足腰は弱り、筋肉が脂肪に置き換わって身体能力が低下するサルコペニア肥満、心身虚弱のフレイルへとつながり、将来の寝たきりリスクを上げることにもなるのです。

それを防ぐためにお勧めしたいのが「排尿健診」です。私(斎藤)が、東京・代官山に泌尿器・日帰り手術クリニックを今年7月に開院したのは、排尿の状態が健康のバロメーターになることを多くの人に知っていただきたいと思ったからです。

私は長年、大学病院で排尿障害の研究を行う一方、手術も多く手がけてきました。並行して泌尿器科在宅クリニックの設立を手掛け、常に100人程度の地域の患者さんをつぶさに診てきました。この在宅クリニックでの経験で、排尿障害の改善が健康長寿に役立つことを痛感したのです。

排尿健診、排尿ドックでアンチエイジング

いつまでも健康で元気に過ごすには、正常な排尿がとても大切です。しかし、一般の健康診断には排尿健診はありません。排尿障害は全身の健康を損ない、病気の後押しをするのですが、その意識がないからかもしれません。

尿検査では、尿蛋白などで腎機能の状態はわかっても、膀胱の機能の状態を知ることはできません。排尿に関係する体のホルモンバランスも調べられることはないのです。だから、前立腺肥大症で夜間頻尿を抱えている人は、膀胱機能が低下する認識が薄い状態が続いていると思います。

代官山の私のクリニックでは、男女問わず「排尿ドック」を実施しています。保険診療の対応で、排尿障害を入り口に、ご自身の健康状態に気づいていただくことが目的です。

尿の排出力(尿流量測定)と残尿測定、筋肉量測定、骨年齢、血管年齢、男性ホルモンのテストステロンなど排尿に関係のある各種のホルモン採血も行います。生体年齢もわかります。

排尿障害の原因だけでなく、関連する病気や身体状態を知ったうえで、個人差のある排尿障害を改善する。それをアンチエイジングにもつなげていただきたい。排尿力は若さや男性力を維持するために欠かせません。もっと排尿を意識して、健康的な排尿を維持していただきたいと思います。

【写真】
uMIST東京代官山では昨年4月に保険適用になった「ウロリフト」(経尿道的前立腺吊り上げ術)による前立腺肥大症日帰り手術を行っている

監修・堀江重郎


アンチエイジングは、顔のしわや髪の毛の問題だと思っていないでしょうか? 年齢より若くハツラツと活躍するためには、おしっこをすっきり快く出せる「快尿」も大事です。前立腺肥大症を手術すると、不思議なことにすっかり若返ります。斎藤恵介先生の「排尿健診」は一歩先のアンチエイジング検診として大変期待されます。また、隠れた生活習慣病も明らかにしてくれます。

解説
uMIST東京代官山院長、泌尿器外科医師
斎藤 恵介
「泌尿器・日帰り手術クリニック uMIST東京代官山-aging care plus-」(東京都渋谷区猿楽町)院長。帝京大学医学部附属病院講師、順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科准教授などを経て2023年7月から現職。順天堂医院泌尿器科講師兼任。
監修者
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)
堀江 重郎
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)。日本メンズヘルス医学会理事長。日本抗加齢医学会理事。東京大学医学部卒。日米の医師免許を持ち、がん治療から男性医療まで臨床経験も豊富。近著は『LOH症候群』(角川新書)。