ストレス 腸活 便秘 困った便秘解消法

困った便秘対処法(5)~腸活がストレスになり便秘悪化…まずは生活習慣の見直しから

困った便秘対処法(5)~腸活がストレスになり便秘悪化…まずは生活習慣の見直しから
予防・健康
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腸活がストレス、便秘を後押し…

加齢とともに大腸の機能などが衰え、便秘に悩む人が増える。そんな大腸の健康を底上げするため、腸内環境を整える“腸活”がブームだ。善玉菌が入った発酵食品や食物繊維たっぷりの食材を選び、1日3回とりいれて—と腸活に精を出してみたものの、なかなかうまく排便に結びつかない人もいるようだ。

「機能性便秘はストレスとの関係が深い。食生活の見直しを気にしすぎると、それが新たなストレスになって便秘につながります。考えすぎないようにしましょう」

こう話すのは、「鳥居内科クリニック」(東京都世田谷区)の鳥居明院長。機能性便秘のひとつ過敏性腸症候群の診断・治療の第一人者で、長年、便秘の患者を数多く救っている。

「機能性便秘を繰り返している方は、主治医と相談しながら食生活の見直しに取り組むとよいでしょう。腸内環境を整えるといっても、不溶性食物繊維を食べ過ぎるとおなかが張って、おなかの調子が悪くなることがあります。自己判断は禁物です」

不溶性食物繊維は、ゴボウやキャベツなどに多く含まれ、水分を吸収して膨れ上がる性質を持つ。膨張した便による腸管刺激で排便は促されやすい。しかし、大腸の動きが悪いと、膨張した便が詰まったように動かなくなり、かえって便秘の後押しをすることになる。それに気づかず、「なぜ食物繊維を食べているのに、便秘が治らないのだ!」と悩み、さらに不溶性食物繊維を食べてしまう人もいるので注意しよう。

腸活食材の過度の摂取や制限はNG

「水分に溶ける水溶性食物繊維は、機能性便秘で硬くなった便を軟らかくし、便通をよくします。コンブやワカメ、モズクなどの海藻類に多く含まれます。ただし、考えすぎないことも大切です」

鳥居院長の食生活の改善のコツ(別項)を参考にしていただきたい。食事内容の見直しといっても、基本的に機能性便秘の人が食べてはいけない食材はないという。過度の摂取や極端な制限をしてストレスを感じることが、腸の動きをかえって悪くする。

「『75点でよしとする』というよい意味でのいい加減な考え方が、症状改善に役立ちます。食事も運動も楽しく取り組むことが需要です」

最初は身体を5分間動かしてみる。苦痛でなければ、次回はちょっと長めにしてみる。身体を動かすとリラックス効果があるため、ストレスによる機能性便秘の改善につながるのだ。

「腹式呼吸もリラックス効果があります。①背筋を伸ばして鼻からゆっくり息を吸い込み、②口からゆっくり息を吐きます。ため息をつくように、息を吐くときは吸うときの倍の時間をかけるとよいでしょう」

リラックスしながら困った便秘に取り組もう。

便秘改善に役立つ! 生活習慣見直し6つのコツ

  • 1日3食、規則正しい生活(生活リズムを整える)
  • 偏った食事内容にならないように、バランスの良い食事内容を心がける
  • 毎日、同じような時間帯にトイレに行く(便意がなくてもトイレに行き排便リズムを整える)
  • 排便日記をつけてみる
  • ウオーキングなどの運動習慣を持つ
  • 楽しく続けられる趣味を持つ

※鳥居明監修『図解よくわかる 過敏性腸症候群で悩まない本』(日東書院本社)から

解説
鳥居内科クリニック院長
鳥居 明
鳥居内科クリニック院長。医学博士。東京慈恵会医科大学医学部卒。同大助教授などを経て現職。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医などの資格を有し、日本消化器病学会評議員などの役員も歴任。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。