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困った便秘対処法(4)~排便頻度少ない人は死亡率高い

困った便秘対処法(4)~排便頻度少ない人は死亡率高い
予防・健康
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排便少ないと循環器が悪化

国内で便秘に苦しむ人は約439万人。ストレスや老化が引き金となって便秘が引き起こされることもあれば、大腸がんのような病気が潜んでいる可能性もある。腹痛や腹部膨満感などの不快な症状や、排便時にいきむことでは痔につながるなど、便秘は“苦痛のタネ”になりやすい。

「排便回数が少ないと循環器が悪くなり、生命予後にも悪影響を及ぼすとの疫学調査があります。たかが便秘ではなく、命に関わることがあるのです」

こう指摘するのは、鳥居内科クリニック」(東京都世田谷区)の鳥居明院長。日本消化管学会や日本神経消化器病学会などの役員を歴任し、一般診療に加えて、便秘解消の重要性についての啓蒙にも力を注いでいる。

東北大学の疫学研究(大崎国保コホート研究)によれば、排便頻度「1日1回以上」「2~3日に1回」「4日に1回以下」の3つのグループに分けて検討した結果、排便頻度が少ないほど循環器系疾患の死亡リスク上昇が認められた。

「便秘の状態が続くと活動性が落ちると考えられます。男性は60代以降に便秘の人が増え、女性は80代の高齢者でピークを迎えます。活動性の低下は、循環器疾患を後押しして生命予後に悪影響を及ぼす可能性があるのです」

脂肪が増え、メタボにも

活動量が落ちると、筋肉量は減少して脂肪が増えやすくなる。結果として現れやすいのがメタボリックシンドロームだ。循環器疾患のリスクを上げ、その死亡率も高める。便秘による活動量の低下が、追い打ちを掛ける可能性があるのだ。

「便秘は解消するに越したことはありません。便秘が続くようならば、一度、大腸の病気に詳しい消化器内科や消化器外科を受診していただきたいと思います」

大腸がんなどの病気とは無関係で、加齢やストレスなどで大腸の動きなどが悪くなる機能性便秘の場合は、下剤の使用のみならず食生活の見直しも欠かせない。

「腸の健康を維持するには運動習慣が役立ちます。激しい運動は交感神経を有意にして腸の動きを悪くするため、ウオーキングなどの軽い有酸素運動は役立ちます」

仕事や家庭内にストレスを抱えていると、つい運動習慣は後回しになりがちだ。便秘が続いておなかがスッキリしないと、外出するのも控えたくなることがあるだろう。

「マッサージやひねり運動も、便秘の人にはお勧めです。マッサージは、あお向けになって、下腹部の左下を手でもむとよいでしょう。腹部の右下、右上、左上、左下、真ん中と、大腸の動く方向に指で軽く押すのもよいでしょう」

おなかの調子が悪いと「動きたくない」と思いがちだが、機能性便秘は身体を動かすことが解消につながると心得ておきたい。

鳥居明院長おススメ「ひねり運動」

  1. 腰を左右に回す
  2. 両手を左右に広げ、上半身を左右にひねる
  3. あお向けに寝て両膝を立て、上半身は動かさないようにしつつ、両膝を左右の床にゆっくりつけるように倒す⇒それぞれの運動は約1分が目安。腰を痛めないようにゆっくりと、無理のない範囲で行う

※鳥居明監修『図解よくわかる 過敏性腸症候群で悩まない本』(日東書院本社)から

解説
鳥居内科クリニック院長
鳥居 明
鳥居内科クリニック院長。医学博士。東京慈恵会医科大学医学部卒。同大助教授などを経て現職。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医などの資格を有し、日本消化器病学会評議員などの役員も歴任。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。