ビールのプリン体は日本酒、焼酎の1000倍も
「尿酸」というワードに耳が痛い人も多いのではないでしょうか。尿酸は細胞の核の中にある核酸の塩基(プリン体)が分解されて作られます。肉などの動物性タンパク質には核酸が多いため、それらを好む男性には尿酸値を指摘された人も多いでしょう。「夫の尿酸値が高く悩んでいる」という奥様も大勢います。
痛風発作は尿酸が体の中で結晶を作ることが原因で、足の母趾の付け根辺りに生じることが多いです。痛風は「風が吹いただけでも激痛が走る」というのが名前の由来で、関節が腫れ上がり、安静にしていても我慢できない痛みがあります。
痛風患者の多くは30~50歳代の太り気味の男性です。痛風は遺伝的要因も大きいといわれています。少し肉を食べただけでも尿酸が上がってしまうだけでなく、アルコールに強い遺伝子を持つ人は弱い人と比較して約2倍も痛風になりやすいとの報告があります。
ビールには尿酸のもととなるプリン体が、日本酒や焼酎と比べると約10~1000倍も含まれていますので、尿酸値が7以上になったら、ビールはやめましょう。
本当に問題なのは「アルコール」
尿酸値が高めの患者さんから、「じゃあ、ビール以外は飲んでもよいですか」とよく質問されます。近年、「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」とうたう商品が増えました。
前述の通り、プリン体は尿酸値を上げる原因となりますが、実はビールよりも肉や魚に多く含まれています。ではなぜ、ビールがやり玉に挙げられるのでしょうか。
それは「アルコール」が問題となるからです。アルコールの分解時に尿酸の合成が促されます。またアルコールは利尿作用により尿酸を濃縮したり、腎臓からの尿酸の排泄(はいせつ)を妨げたりします。その結果、体内の尿酸が上がってしまうのです。
ビールはお酒の中で、プリン体が桁違いに多いので、プリン体ゼロの発泡酒に代えたり、焼酎などを選んだりするのは効果があるでしょう。しかし、お酒の種類にかかわらず、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があるのです。
尿酸は、痛風や尿路結石の原因となるため良いイメージを持つ方が少ないですが、実はビタミンCよりも抗酸化作用の強い抗酸化物質なので、適度な尿酸はアンチエイジングにとって有益です。なので「プリン体の多い干物、しらこ、ウニなどはまったく食べない」というのは少しやりすぎだと思います。
アンチエイジングにとって、尿酸にはメリットもあるので、健康な中年男性は過剰に摂取制限をする必要はなく、何事もバランスが大事なのです。
- 痛風発作は30~50歳代の太り気味の男性に多い
- ビールに含まれるプリン体は桁違いに多い
- 「アルコール」そのものが、体内の尿酸を上げてしまう
- 尿酸はビタミンCよりも抗酸化作用が強い