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夜間頻尿治療でアンチエイジング(2)~夜間のトイレで睡眠の質と筋肉量が低下

夜間頻尿治療でアンチエイジング(2)~夜間のトイレで睡眠の質と筋肉量が低下
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「頻繁なトイレ」で夜間のテストステロン分泌が減る

排尿障害を長年研究している「泌尿器・日帰り手術クリニック uMIST東京代官山」=写真=院長の斎藤恵介です。前回お伝えしたように、夜間頻尿の改善はアンチエイジングにつながります。何回も目覚めてトイレに行くと、当然ながら睡眠の質は低下します。朝の目覚めが悪く疲労感も残ります。同時に筋肉量も減少しやすいのですが、「足腰が弱くなったのは年のせい」ですまされがちです。

質の良い睡眠は、成長ホルモン、男性ホルモンのテストステロン、さまざまな役割を果たすホルモンのコルチゾールなどの分泌を促進します。これにより、元気で健やか、そして若々しい心身を維持しています。しかし、夜間頻尿で睡眠の質が悪くなると、テストステロンなどの分泌量が減り、筋肉量も減っていくのです。

ところが、ご本人は自覚に乏しい。筋肉量が減ったときには脂肪と置き換わるため、見た目の脚の太さは変わらないことがあるからです。

テストステロンは、筋肉や骨の産生や血管のしなやかさ、脂質代謝や糖代謝、さらには認知機能にも関係しているといわれています。夜間に分泌されるテストステロンが睡眠障害により減少すると、骨がもろくなり、体を支える筋肉量が減ります。

夜間頻尿の最悪の結果「大腿骨頸部骨折」

こうした夜間頻尿に伴う最悪の結果として、太ももの付け根の大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)などを起こすと、「歩行が思うようにできない」「寝たきり」の末に寿命が縮む、といった報告もあります。年のせいと考えている人も多い夜間頻尿は、それほど深刻な問題なのです。

夜間頻尿の最も多い原因は、夜間に尿が大量に作られる夜間多尿です。夜間多尿は、男性は前立腺肥大症、女性は過活動膀胱や、膀胱が膣壁から飛び出す膀胱脱などが関わり、症状が悪化していることが多くあります。

これらの病気は、加齢に伴う身体的な変化とも関係が深いため、前立腺肥大症の治療に加えて、膀胱機能も考えた全身のトータル的な治療・改善が必要になります。また、夜間多尿は、健康情報の誤認やご自身の生活習慣を見直すだけでも、解決の糸口になります。睡眠リズムを整え、水分補給のタイミングを変えることで、生体リズム(サーカディアンリズム)が正常に導かれ、夜間頻尿の回数が減って「よく眠れた」という人もいるのです。

最近の研究では、夜間頻尿回数が減るとテストステロンが上昇する、また、逆にテストステロンを投与すると夜間頻尿が減少することも分かっています。夜間多尿という体の変化とそれに対応する方法、質の良い睡眠の大切さをご理解いただければと思います。

監修・堀江重郎

脚の太さは一見変わらなくても実は筋肉が減って脂肪が増えていることがよくあります。脚の筋肉が減ると日中に脚に水分が溜まりやすく、この水分が夜寝ているときに尿となって出ていくために、夜中にトイレに起きるようになります。自分の筋肉量と脂肪量を体組成計で調べて、筋力の低下があるときには早速トレーニングを開始しましょう。

解説
uMIST東京代官山院長、泌尿器外科医師
斎藤 恵介
「泌尿器・日帰り手術クリニック uMIST東京代官山-aging care plus-」(東京都渋谷区猿楽町)院長。帝京大学医学部附属病院講師、順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科准教授などを経て2023年7月から現職。順天堂医院泌尿器科講師兼任。
監修者
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)
堀江 重郎
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)。日本メンズヘルス医学会理事長。日本抗加齢医学会理事。東京大学医学部卒。日米の医師免許を持ち、がん治療から男性医療まで臨床経験も豊富。近著は『LOH症候群』(角川新書)。