冷え性の人は筋肉量が少なく血流が悪い
高温多湿の時期でも、電車やオフィスに入ると寒く感じられ、手足の末端がこわばってつらい。このような症状が「冷え性」の人にはよく見られます。手足が冷たいことに加えて、血流が悪いことから肩こりやめまい、胃腸障害など、さまざまな症状につながることがあります。
「男女問わずに冷え性に悩む方は少なくありません。手先や足先からといった末端の冷えから始まることが多いです。悪化すると手足の冷えや腹部の冷えへと広がり、最後は全身の冷えへとつながり、さまざまな症状を引き起こすのです」
こう話す「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京都世田谷区)の久手堅司院長は、寒暖差疲労外来などで冷え性の人を数多く診ています。
「冷え性になりやすいのは、エネルギーを生み出す筋肉量が少ない人、ストレスなどで血流が悪い人です。また、体温調節に関わる自律神経(交感神経と副交感神経)が、今の時期、屋内外の寒暖差によって寒暖差疲労に陥りやすいので、冷えを感じやすくなります」
外気温が高くても低くても、人間の体温は一定に保つ仕組みがあります。気温が高いときには、副交感神経の働きで血管が拡張して体温を下げます。反対に外気温が低いときには、交感神経の働きで血管を収縮して熱を逃さないようにし、体温を下げないようにしています。
それを繰り返さなければいけないのが、高温多湿の屋外とエアコンの環境です。屋内外の寒暖差によって自律神経がいわば働きすぎて疲れてしまうのです。その結果、体温調節がうまくいかなくなり、血流も悪くなることで、冷え性につながります。
4つの冷え対策
「屋内外の気温差が7度以上あるときには、寒暖差疲労を起こしやすくなります。加えて、女性の更年期の方は、女性ホルモンの乱れによって血巡りが悪くなるため、冷えをより感じやすくなるので注意しましょう」
冷え性では、手足が冷たくなるのに反比例するかのように、頭部や体幹に熱が集まって、いきなり顔が熱くなって発汗するようなホットフラッシュや、のぼせなどの症状を引き起こすことがあります。
また、ひどくなると手足のしびれや痛みを伴うことがあり、さらに悪化すると、胃腸の調子が悪くなって食欲不振や下痢などにもつながります。
「慢性的な冷え性は、症状の連鎖が起こってひどくなりがちです。日ごろから冷え対策を意識することが大切です」
久手堅院長お勧めの方法は、次のとおりです。
①常温もしくは温かい飲み物をとる
真夏でも冷たい飲み物は避けましょう。起床時にコップ1杯の白湯を飲むと、内臓温度が上がって基礎代謝がよくなります。
②ショウガやネギ、ニンニクをとる
体を温める作用のある野菜や根菜類を活用しましょう。
③運動をする
通勤時に1駅歩く、階段を利用するなど運動を心がけると、血行が改善しやすくなります。
④毎日の入浴
38~40度のぬるめのお湯に10~15分つかると、血行改善に加えて自律神経も整いやすくなります。ただし、持病持ちの方は、主治医に相談したうえで入浴しましょう。