スーパードクターが中高年の健康不安や疑問に応える
ベストセラー『がんばらない』以降、数多くの著作を送り出してきた鎌田實医師の最新刊が出た。中高年世代の誰もが持つ健康上の不安や疑問に、「毎日の暮らし方」の視点から的確なアドバイスを送る、見事に実用的な健康本だ。
年齢を重ねるごとに老いを感じる出来事が増えて、それは健康上の不安を呼び起こす。そのすべてが病気につながるわけでもないのだが、病気の原因が潜んでいることもある。その判断は一般人には難しく、また新たな不安を招くことになる。
そんな不安の連鎖を断ち切ってくれるのが、今回紹介する『図で分かる 鎌田式43のいい習慣』(集英社刊、1540円)である。
鎌田医師は現在75歳。いまも被災地の支援活動や講演などで全国を飛び回り、年齢を感じさせないほど精力的に活動を続けるスーパードクターだ。そんな著者の最新刊は、著者自身が実践する「毎日ほぼ元気」のコツを、平易な文章と分かりやすい図を駆使して、悩みを解決してくれる。
編集を担当した集英社の山本智恵子氏が、「著者自身が老いの問題を解決するために実践・提唱してきた全てを網羅しています」と自信を見せる本書は、睡眠薬からの脱却や、高血圧・高血糖・肥満の入り口から生還した著者自身の実体験をもとに構成する。Q&A形式なので、自分の興味のあるページから自由に読める親切設計もありがたい。
毎日が「ほぼ元気」であれば十分
山本氏自身、著者とやりとりを通じて、「人生を楽しむために健康でいよう」「みんなをもっと元気にしたい」という一貫したポリシーに感銘を受けると同時に、毎日の暮らし方に少し気を配るだけで、体の調子が上がり、チャレンジ精神が湧き、前向きな気持ちになれた—という。
高齢者はもちろんだが、山本氏は「40~50代の働き盛りの人にこそ読んでほしい」として、次のように語る。
「年齢とともに『毎日元気はつらつ』ではいられなくなるものですが、“ほぼ元気”であれば十分—と捉えることができれば、不安も小さくなっていく。ご紹介しているお手軽健康法の中から、一つでもできそうなことから始めてほしい。中高年が始めることで、子世代や親世代などにも広がっていき、無理なく健康を維持できる生活習慣に近づけると思います」
健康対策は「取り組み」だと長続きしないが、「習慣」にすれば無理なく続けられる。その工夫とコツが満載の1冊。気負わず読んでみてはいかがだろうか。
鎌田式「いい習慣」より
- 高齢者はコレステロール薬は飲まなくていい。それよりいますぐ運動靴を買って歩き出そう
- 多種、多様、多産地の発酵食品と野菜、きのこ、海藻を食べて腸内環境の改善とキープに努めよう
- 血管の老化を防ぐには「腹式呼吸」が最適
- たった3分の軽い運動で記憶力はアップする
- 「うれしい!」「楽しい!」「きれい!」など感動を言葉にしよう
- 難聴は認知機能低下の元。聞きづらくなったら勇気をもって補聴器を!
- 見た目年齢が若い人ほど長生きする。姿勢だけはまっすぐに!
- 作り笑いでもいいから、つねに口角を上げることでアンチエイジング
- 「出かける」「人と会う」「筋活」で、フレイルや認知症予防
- 99%は自分のため、1%は誰かのために生きる。自分の命は自分で決めよう
(※同書から抜粋)