血圧下げるなら、まずはストレス対策から
われわれの体の体温や血圧や脈拍数は、意識しなくても正常範囲に保たれています。これを恒常性(ホメオスタシス)といいます。自律神経による働きです。特に自律神経のうち、血圧や脈拍数を保つためには交感神経が働いています。ノルアドレナリンが出ているのです。
しかし、このノルアドレナリンは闘争ホルモンです。ですから、日常の仕事でストレスがかかると出っぱなしになるのです。ノルアドレナリンが慢性的に放出されると血圧が上がるだけでなく、末梢血管が閉まり血流不全が起きます。特に重い頭を支える後頸部から肩にかけての筋肉の血流が悪化し、肩こりを引き起こします。
このように高血圧と肩こりは、日常生活で容易に引き起こされます。ただ、われわれは肩こりには気がつきますが、血圧の上昇にはなかなか気がつきません。
今日は血圧を下げる食事療法を伝授します。
その前にできるなら、ストレスを取り除くのが一番です。ストレスは働きすぎと人間関係の軋轢(あつれき)からやってきます。働きすぎを改めるのは難しいですが、座って仕事をしている場合には必ず1時間おきに立ち上がって歩くこと、ストレッサー(ストレス原因となる刺激)となるのは、マウントを取る(優位性を自慢したり、威圧的な態度を取ったりする)人間なので、こういう奴とは仲良く話さないことです。
血圧を下げる食事療法
さて食事療法ですが、よく減塩療法という話を聞きます。高血圧になる人はもともと濃い味付けが好きなのですが、ここで紹介するのは減塩ではありません。
われわれの肌に初夏のそよ風がさわやかに吹くときは、英語でも特別にbreezeという表現を使います。肌はそのやさしい風が皮膚の上に吹くときにわずかな摩擦を感じるのです。
この肌の感受性と同じものを血管の内皮細胞も有しているのです。血圧が高くなり、血液が非常に速い勢いで流れるときには、血管の内皮細胞に血流による摩擦がかかり、血管の内皮細胞はそれに反応して拡張し、血圧は下がります。この時血管を拡張させる物質が一酸化窒素(NO)というガスです。そうです、NOをうまく発生させると血管は拡張して血圧は下がるのです。
NOを発生させるのはアルギニンとシトルリンというアミノ酸です。これらを食事からたくさん摂るのは難しいですが、これらのアミノ酸を体内で作り出すオルニチン、アスパラギン酸は食事から摂れます。
次はカリウムとマグネシウムというミネラルで、これらは血管収縮力を弱めます。
オメガ3という必須脂肪酸は、血管内皮細胞の働き強化し、NOの分泌を促し血管を拡張させ、ひいては血圧を下げます。
すなわち、具体的に食材を挙がるとこうなります。
- 必須脂肪酸=サバ、イワシ
- アスパラギン酸=牛肉、豆類、アスパラガス
- オルニチン=シジミ、チーズ、エノキ
これらの食材と野菜を日常の生活に取り入れることです。
最後に、もうひとこと。軽い有酸素運動は、降圧剤を1錠飲むのと同じ効果があります。