腸活

水道水は「きれい」だが腸活するなら再考を

水道水は「きれい」だが腸活するなら再考を
エイジングケア
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体温調節から解毒、鎮静まで水の役割は大きい

成人の体は6~7割は水分でできており、水は最重要な構成要素です。そのため、体によくない水を入れてしまうと、体に不具合が起きてしまうことがあります。

水は人間が生きていくうえで以下のように非常に重要な役割を担っています。

①体温調節

人間は体温調節のために汗をかきます。汗が気化することで熱が奪われて体が冷えます。水分不足で体温調節がうまくいかず、熱中症になるのはこのためです。

②解毒・利尿作用

体内に毒や異物が入ると、水はそれらを分解したり薄めたりする働きがあります。お酒を飲み過ぎると有害物質のアセトアルデヒドができて二日酔いを起こしますが、これを解消するのも水です。老廃物を体外に排出する尿や便、汗などにも水が利用されています。

③新陳代謝・血液循環の促進

古くなった細胞が死に新しい細胞が生まれる活動が新陳代謝ですが、それを支えるのは全身の臓器や細胞に栄養を運ぶ血液やリンパ液であり、大部分が水で構成されています。脱水症状になったり、不摂生で血中に糖や脂肪が増え過ぎたりすると、血液がドロドロになって、肌にも体にも悪影響を及ぼします。

④鎮静・覚醒作用

日常生活では脳を使うので、必然的に頭に多めに血液が集まります。例えば、緊張時や興奮時には、コップ1杯の水を飲むことで、胃腸に血液が降りてきて緊張がほぐれ、気持ちが落ち着きます。逆に朝起きて、睡眠中に優位になった副交感神経のために頭がボーッとしたとき、冷たい水を飲むと、それが刺激となり交感神経優位に切り替わり、体が目覚めます。

水道水の塩素が超の働きを邪魔する

では、水はアンチエイジングとどのように関わっているのでしょうか。

日本では蛇口をひねれば「きれい」な水が出てきます。ただし、この「きれい」とは「大腸菌などの病原菌数が少ない」ということです。

というのも、日本の水道水は生水を塩素などで殺菌消毒して飲料として使えるようにした水です。大腸菌ゼロをクリアするために、WHO(世界保健機関)よりも厳しい基準を設け、世界トップクラスの塩素の使用量となっています。

そのため、感染症の目線でいえば「安全」かもしれませんが、体に良いかどうかは別問題です。例えば、腸内環境を乱すもののひとつが「塩素」です。アンチエイジングにとって腸活は重要ですが、塩素はそれら腸の働きを邪魔してしまうのです。

農林水産省が定めたミネラルウオーターは4種類あり、中でもお勧めは「ナチュラルミネラルウオーター」です。地層中のミネラルが溶け込んだ地下水を原水としており、品質安定のための人為的な調整を行っていないものです。特に普段から便秘などの悩みがある人は「マグネシウム」「カルシウム」を多く含んだ硬水がお勧めです。

「たかが水、されど水」。毎日摂取するものだからこそ、今一度、気にしてみてはいかがでしょうか。

  • 水は、成人の体の6~7割を構成しており、重要な働きをしている
  • 日本の水道水に含まれる「塩素」は腸活の邪魔をする
  • 水を選ぶならナチュラルミネラルウオーターがオススメ
解説・執筆者
形成外科専門医
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医、MBA。1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上、臨床と研究に従事。2019年から恵比寿形成外科・美容クリニック副院長。著書「だから夫は35歳で嫌われる~メンズスキンケアのススメ」(光文社)が発売中。