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【医師監修】更年期障害を正しく理解しましょう: 症状、治療、予防法について

【医師監修】更年期障害を正しく理解しましょう: 症状、治療、予防法について
エイジングケア
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女性更年期障害は閉経前後におきる肉体的・精神的な症状

女性の更年期障害は、閉経前後の5年間の生理的変化から起きる症状です。この期間は、閉経にともなって肉体的にも精神的にも不安定になりやすい時期です。症状の程度によっては、医師に相談し、適切な治療法を選択することも必要になります。
更年期障害は女性だけでなく、男性にも起きることがあります。これは、テストステロンという男性ホルモンの低下によるもので、男性更年期障害と呼ばれます。

女性更年期障害の症状はさまざま 

女性の更年期障害の症状はさまざまで、体の不調だけでなく、心の問題や精神的な変化など多岐にわたります。日本人で最も多い症状は肩こりや倦怠感ですが、すべての人が同じように症状を訴えるわけではありません。

欧米では、のぼせや汗をかく「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状が多い傾向があるのですが、日本人女性の場合、ホットフラッシュよりも疲労感や肩こりの方が多く、身体的な症状と同様に、精神的な症状が上位にくるのが特徴です。

症状の元となるのは、自律神経やホルモンバランスの乱れだといわれます。ここでは、身体的症状と精神的症状にわけて、それぞれについて詳しく紹介します。

更年期障害が身体に及ぼす症状

40代から50代の女性の身体に現れる変化について解説しましょう。これらは、自律神経やホルモンバランスの乱れが発端となっています。

では、身体の部位別に、それぞれの症状をみてみましょう。

血管・神経の症状

更年期障害による血管・神経の症状で多いのは、「のぼせ」「ほてり」「発汗」「冷え」です。とくに、急に体が熱く顔や首がほてって、のぼせや発汗が起きることを「ホットフラッシュ」ともいい、更年期の人に特徴的な症状です。ホットフラッシュとともに、偏頭痛を感じる人も多くいます。

皮膚・分泌系の症状

皮脂の分泌が少なくなるのも更年期の特徴です。皮膚が乾燥してかゆくなったり、むずむずしたり、湿疹が出る人もいます。皮膚だけでなく、涙、唾液などの分泌が少なくなってドライアイや口臭に悩む人もいます。

消化器系の症状

胃腸は自律神経に強く影響され、ストレスの影響も受けやすい臓器です。更年期になると自律神経が乱れ、胃弱の状態になり、消化力も弱くなってきます。胃液の分泌も若い頃より少なくなり、油もので胸焼けがしたり、食欲不振になったりする場合もあります。

他に、吐き気、便秘、下痢、腹部膨満感を訴える更年期の人もいます。ただし、不調が長期にわたるなら、安易に『更年期だから…』と片づけず、他の消化器系の病気も疑う必要があります。原因が他にないか、医療機関を受診して調べましょう。

運動器官系の症状

肩が重い、腰が痛くなるなど運動器官系にも不調が出ることがあります。特に肩こりは半数近くの人が感じています。他にも関節や背中が痛かったり、手がこわばって動かしにくかったり、しびれたりなど、人によってさまざまな症状があります。

泌尿器・生殖器系の症状

一般的に正常の月経周期は25~38日、持続日数は3~7日と言われていますが、閉経前には月経異常の症状が見られます。
例えば、前回の月経から24日以内に次の月経が始まったり、逆に39日以上たっても次の月経が始まらない、月経の量が多すぎたり少なすぎたりなど症状はいろいろです。その他にも、下腹部や陰部の違和感や何かが挟まったような感覚になる場合もあります。おしっこが近い、漏れやすくなる、おしっこが残った感じがする、外陰部のかゆみや乾燥のほか、膣に潤いがなくなり性交痛を感じるなども、更年期にはよくみられます。

更年期障害が精神に及ぼす症状

更年期障害の精神症状は互いに影響しあっているので厳密には分類できませんが、大まかにわけて説明します。

イライラ・不安・集中力の低下

自分でも驚くほど、ささいなことで腹が立つ、小さなことや将来が気になって不安になる、イライラするなど。作業中に気が散ったり、物事を忘れやすくなったりすることが増えることもあります。

抑うつ(意欲低下・疲労感・孤独感など)

更年期に抑うつ症状を経験する女性は少なくありません。抑うつとは、気分が憂うつで何もする気になれない状態を指します。抑うつ状態が2週間以上続いている状態を、うつ病と呼びます。抑うつ状態は誰にでも訪れますが、放置すると症状が悪化してうつ病になることもあります。

睡眠障害

更年期の身体的な症状と精神的な症状がともに影響して起きるのが睡眠障害です。更年期によくみられる睡眠に関する症状には、以下の4つがあります。これらは、どれか1つではなく2つ以上重複して現れることも多いものです。また、睡眠障害が身体的・精神的な症状に影響して、悪循環になってしまうこともあります。

入眠障害

寝ようとしても、なかなか寝つけない。眠りにつくのに30分以上かかり、それが苦痛に感じる。

中途覚醒

睡眠中に何度も目が覚める。一度目が覚めると、なかなか寝つけない。

早朝覚醒

予定していた起床時刻の2時間以上前に目が覚め、その後寝られないか、寝ても熟睡できない。

熟睡障害

ちゃんと寝たはずなのに、すっきりしない。眠った気がしない。眠気が取れない。寝ても寝ても眠い。
これらの症状がすべて出るのではなく、元々の性格や周囲の状況によって症状も左右されます。

他の要因が精神症状の原因になっている場合も

更年期の40代から50代は、子供を持つ人にとっては子供の巣立ちや反抗期とも重なり、働いている人の場合は、本意でないのに一線を退き後進に道を譲らなければならないような年齢かもしれません。そうした事情から精神的な症状が引き起こされている場合もあります。更年期障害の精神症状には個人差があり、軽度から重度までさまざまです。更年期だけが原因と考えず、他の要因がストレスになっていないかを確認することも大切です。

更年期をおそれすぎて精神的に追い込まれることも

最近気になるのは、更年期をおそれるあまり逆に更年期にとらわれてしまう人がいることです。これは更年期恐怖症ともいわれます。更年期について過度に心配するあまり、小さな兆候や医師の言動が気になり過ぎてしまう精神的な症状です。更年期恐怖症によって、更年期症状が重くなることもあります。

女性更年期障害の原因は?

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が不安定になってきます。エストロゲンは思春期頃から分泌量が増え、20~30代にピークを迎えます。その後、40代半ばから50代半ばにかけて急激に減少し、60代以降はほとんど分泌されなくなります。

もともとエストロゲンは、排卵後分泌量が減って月経後に増えるというリズムで波のように分泌量の変化を繰り返しています。これが、更年期になってくると、全体の量が減って安定しなくなります。結果、分泌量が上がったり下がったりと大きくゆらぐのです。このゆらぎが、更年期の身体的・精神的症状を作り出しています。

更年期障害は遺伝するのか?

「母親が更年期で苦労したから、私も更年期がひどいのではないか」と言う人もいます。しかし、更年期障害の原因は、エストロゲン分泌の大きなゆらぎが主な要因です。母親と同じ症状が出るかどうかは、わかりません。更年期障害の症状には、その人の性格やライフスタイル、体質など複合的な要因が関係しますから、遺伝の影響はあまり考えなくてもいいでしょう。

ライフスタイルと環境要因が原因の場合も

更年期だと思っている症状に、実はライフスタイルや環境要因が大きくかかわっていることがあります。
ストレスや不規則に偏った食生活、運動不足、睡眠不足などは、ホルモンバランスや精神の健康に大きく影響します。また、環境中の化学物質や食品添加物なども更年期障害のような症状を引き起こすことがあります。


そのため、自分の症状が更年期だと思っている人でも、ライフスタイルの見直しや環境の改善によって、症状が楽になることがあります。更年期障害で受診した場合、医師は他の要因の影響も考慮します。相談しながら、適切なアプローチを検討しましょう。

更年期障害の検査・診断方法

更年期障害が疑われる人には、問診・鑑別のために必要な検査(血液検査、婦人科的検査、血圧・身長・体重測定)、オプション検査が実施されます。それぞれについて解説します。

問診

更年期障害の診断は、問診が中心となります。医師が確認する内容について詳しく説明します。突然聞かれると、とっさにわからなくなることもあるので、事前に確認しておきましょう。

症状の出現について

  • どのような症状があるのか
  • 症状が始まった時期
  • 症状の変動や周期性の有無
  • 何か特定の要因で症状が悪化したり改善したりするか

月経関連

  • 最後の月経の時期
  • 月経の周期や量の変化
  • 月経前症候群(PMS)の症状や変化

身体的症状

  • ほてりや寝汗の有無
  • 睡眠の質の変化
  • 肌や髪の変化、乾燥した感じがするか
  • 体重の変化
  • 性的欲求や性的な不快感の有無

心理・精神的症状の確認

  • 気分が変動し、わけもなく落ち込むことがあるか
  • 不安やイライラを感じることがあるか
  • 集中力の低下や物忘れなど、認知機能の変化を感じるか

既往歴・生活の様子

  • 病歴、手術歴、薬の服用歴
  • 生活の様子
  • どんな場面で困っているのか
  • 今回の症状で試みたことがあるか
     

鑑別のために必要な検査(血液検査、婦人科的検査、血圧・身長・体重測定)

更年期障害を疑う場合、血液検査でホルモン値を測定します。更年期障害だと思っていても、他の病気が隠れているかもしれません。このため問診や諸検査の結果から、更年期障害かどうか鑑別診断をしていきます。

血液検査

  • エストロゲン
  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)
  • 甲状腺ホルモン
  • 血糖値
  • コレステロール値
  • 肝機能、腎機能、貧血、凝固系などの全身をチェックする項目

ホルモン値の結果は、更年期障害の診断に役立ちますが、個人差が大きいため、基準値は厳密には決まっていません。

婦人科的検査

更年期では月経が不規則になることがよくあります。不正出血・月経トラブルが生じた際に、その原因として子宮や卵巣の病変がないかを確認するために、内診・経膣超音波検査が行われます。更年期の診断には必須ではありませんが、ホルモン環境も推測できることから、より詳しく身体環境をチェックできます。ホルモン補充療法(HRT)を受ける前には上記の超音波検査・子宮頸がん検査・子宮体がん検査が必要です。

血圧・身長・体重測定 

血圧は、更年期になると変動しやすくなります。これには複合的な要因が影響しています。ホルモン補充療法 (HRT) 中には心疾患リスクが高くなるため、血圧測定が実施されます。また、BMI25以上の場合、血栓症のリスクが高くなるため、身長・体重測定が実施されます。(※BMIとは、身長・体重から算出する肥満度を表す指標です)

オプション検査

そのほかに更年期障害の検査で実施される検査をまとめました。これらは、更年期障害の主要な診断ツールではありませんが、ホルモン補充療法(HRT)を行うための準備や、他の治療を検討するために実施されることがあります。

尿検査 

尿検査では、尿中の骨代謝マーカーや腎機能のチェック、尿路感染の有無などを確認します。また、ホルモンの代謝物を尿中で測定することができます。

骨量測定

骨量測定は更年期障害の直接的な診断手段としてではなく、更年期に関連する骨密度低下や骨折リスクの評価・管理のために行われます。女性が更年期を迎えると骨密度が低下しやすくなります。これは、骨粗しょう症の主な原因となります。骨密度の低下を確認した場合には、骨密度を増加させるといわれる治療方法が選択されます。

乳房検査 

乳房検査の主な目的は、乳がんの早期発見と診断です。乳がんは更年期障害と直接的な関連はありませんが、更年期の女性は乳がんのリスクが高まる年齢層に属するため、定期的な乳房検査が推奨され、実施されます。さらに、ホルモン補充療法(HRT)を受けている女性は、乳がんのリスクが増加するため、必須の検査です。

セルフチェック

更年期障害のセルフチェックとして、以下のSMI(Self-rating Menopausal Index)スコアを症状の重症度の指標として使うことがあります。

 

 

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更年期障害の治療方法・メリットとデメリット

更年期障害の治療方法はいろいろあります。ここでは、薬物療法とそれ以外の方法に分けてメリットとデメリットを解説します。

薬物療法

薬を服用して更年期障害の緩和を目指す方法です。処方される可能性がある薬物を紹介します。

ホルモン補充療法(HRT)

分泌量が低下するエストロゲンを薬で補う方法です。ほてりや発汗などの自律神経の乱れに効果を発揮しますが、不正出血や胸の張り・痛み、胃のむかつき・吐き気、ごくまれに血栓症などの副作用が現れることがあります。

漢方薬

漢方には、古来「血の道」という特有の考え方があり、月経および月経周期に伴って起こる症状を中心として、女性に現れる特有な諸症状に対する処方が行われてきました。温経湯、温清飲、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、四物湯、桃核承気湯、当帰芍薬散など、個人の症状や体質にあわせてさまざまな薬が処方されますが、体質に合わなければ思った効果が得られないなどのデメリットがあります。

向精神薬

更年期障害の気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠などの精神症状がつらいときには、抗うつ薬や抗不安薬などが用いられることがあります。向精神薬はその副作用や依存などデメリットもありますが、必要以上におそれず適切に使用する必要があります。

睡眠薬

眠れないという訴えに対して睡眠薬が処方されることもあります。更年期女性の睡眠障害は、うつ・不安との関係が強いため、併せて治療しなければ睡眠の質はほぼ変化がないといわれています。

自律神経調整薬

更年期障害では、自律神経の乱れが問題になることが多く、自律神経調整薬が処方されることがあります。自律神経薬は脳(中枢)に作用し、自律神経系の乱れからくる頭痛、倦怠感・肩こり・発汗などの症状を改善する薬です。眠気などの副作用があらわれる場合があります。

ピル

更年期障害の治療には、ホルモン補充療法(HRT)としてエストロゲンやプロゲステロンを使用することが一般的ですが、一部のピル(経口避妊薬)も、エストロゲンやプロゲステロンを含んでいますので、更年期障害の症状の管理に利用されることがあります。しかし、ピルには血栓症や心筋梗塞などのデメリットもあります。特に更年期障害の症状が出始める40歳以上の人は、血栓症や心筋梗塞などのリスクが高くなります。

エクオール

大豆イソフラボンの一種から腸内細菌によってつくられる活性代謝物がエクオールです。エクオールには、エストロゲン様の働きがあるとされ、ほてりや肩こりなどの更年期症状に効果が認められています。

カウンセリング・心理療法

カウンセリング・心理療法は、薬物治療と違って副作用はありません。心身の不調だけでなく、家庭や仕事などから受けている要因も考慮して、本質的な解決策にアプローチできるのもメリットです。自分や人生との向き合い方を探ることは、これからの人生にも役立つでしょう。
デメリットとしては、時間と費用がかかること、カウンセラーとの相性が結果を左右すること、自己開示が苦手な人には向かないこと、などがあります。

食事療法

毎日の食事に気を配る食事療法は、実施しやすく副作用のリスクが低い方法といえます。更年期の食事で最も大事なのは栄養バランスの整った食事です。必要に応じて、栄養士も交えながらの食事療法をおすすめします。しかし、食事療法には効果が出るまで時間がかかる、続けるのが大変、食事の影響には個人差がありわかりにくい、などのデメリットもあります。

運動療法

運動療法のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 体重をコントロールし、肥満や生活習慣病の予防に役立つ
  • 骨粗しょう症や骨折のリスクを減らす
  • コレステロール値を下げて、循環器の健康を保つ
  • ストレスを発散し、睡眠の質を改善する
  • 不安やうつなどの精神的な症状を和らげる

運動は逆に怪我などのリスクもあります。運動が苦手な人や忙しい人は運動を続けることが難しいでしょう。

40代を迎えたら考えたい|更年期とうまくつきあう生活とは?

健康的なライフスタイルは更年期を過ごすうえでも大切です。とくに更年期障害は、普段の生活のしかたによって、症状に違いが出るとも言われます。一般に良いとされている対策や予防方法をまとめて紹介します。

気分変動や不安感を受け入れる

更年期障害かもしれないと思ったときに、「逃げ出したい」「否定したい」という気持ちになり、受け入れられない気持ちになる人は少なからずいます。これが更年期障害の症状を悪化させることもあります。しかし、無理に感情にフタをするのもよくありません。まず、自分の否定的な感情を許してあげることから始めましょう。それだけでも、心理的な負担が減少することがあります。心身の不調や苦痛を軽くする助けになるかもしれません。

食生活に気を配る

更年期の時期に摂取が推奨される食べ物や栄養素には以下のものがあります。

  • 女性ホルモンに似た構造の物質を含む大豆製品やリンゴ、ゴマ
  • カルシウムを含む牛乳や小魚
  • ビタミンDを含む干しシイタケなどのキノコ類
  • オメガ-3脂肪酸を多く含む魚やナッツ

他にも、タンパク質やビタミンB群、マグネシウムなども積極的にとりたい栄養素です。最も大切なのは、ひとつの食材に偏り過ぎず、バランスの良い食事を意識することです。コレステロールや糖分を取り過ぎず、いろいろなものを食べましょう。

定期的に運動をする

適度な運動は、筋力低下を防ぎ身体機能を維持するために必要です。ストレスや不安感に対しても良い影響があるでしょう。ウオーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニング、ストレッチ、ヨガ、水泳など自分が楽しんでできそうなものを取り入れてみましょう。

ストレスメンテナンス

マインドフルネスや瞑想など、自分なりのリラクゼーション方法を探してみましょう。例えば、仕事や家事の合間にお茶の時間をとるだけでも違うでしょう。

睡眠

健やかな睡眠は身体的にも精神的にも大切です。

  • 規則的に睡眠時間をとる
  • 寝室の環境を整える
  • 入眠前に軽い運動をする
  • 入眠前にはパソコンやスマホから離れる
     

これらは、一般的に言われている睡眠を健やかにする方法です。

気楽な仲間を持つ

友人でも家族でもかまいません。愚痴が言えて、自分が肩の力を抜いて過ごせる仲間や場所を持ちましょう。

更年期を受け入れる

更年期の変化は特別なことではありません。更年期を迎えた自分も受け入れましょう。退治しようとしたり、押さえつけたり、見て見ぬふりをしたりせずに、自分の変化を受け入れたほうが、案外うまくいくものです。

更年期はいつからいつまで? 閉経をすぎて症状が出なかったら大丈夫?

女性の更年期は女性ホルモンの急激な低下に体が慣れるまでの期間、具体的には閉経前後のそれぞれ約5年間を指します。いまは更年期障害の情報が多くなったので、少しでも気になる症状が出たら受診する人が多くなっています。40代になると、何でもかんでも更年期障害のせいにするようなこともありますが、まず、他の病気がないかどうかを確かめることが大切です。

症状がなかった人でも、親の介護や子供の受験に頑張っているときには症状に気づかなかったのに、ひと段落すると症状に悩まされる人もいます。逆にストレスなどの環境要因が症状の引き金になることもあり、いつ症状が出るかは個人によって違います。更年期は、ゆらぎやすいと考えて無理せずに過ごせるといいですね。

一般的には更年期障害の症状は、50代後半になると楽になる人が多いようです。

まとめ

女性の更年期障害は閉経前後の5年間に現れる生理的変化によるものです。症状はさまざまで、得体の知れない不安感に悩まされる人もたくさんいます。肉体的にも精神的にも不安定になりやすい時期ですので、ひとりでがまんせず、症状の程度によっては医師に相談し、適切な治療法を選択しましょう。毎日の暮らしや気持ちの持ち方についても、無理のない範囲で気をつければ、その後の人生にも役立つでしょう。

監修者
産婦人科専門医、森女性クリニック院長
森 久仁子
医学博士、産婦人科専門医、母体保護法指定医。大阪医科大学大学院修了後、同大学助教、和歌山労災病院産婦人科を経て、2012年に和歌山市に森女性クリニックを開院。患者様のプライバシーや安心感に重きを置き、更年期前後の外陰部不快症状の治療として、外陰部膣レーザー治療を導入している。
執筆者
薬剤師ライター
桜会 ふみ子
薬剤師。Positive&Relax A-F-C代表。東証一部上場の製薬企業で医薬品・医薬部外品について25年以上の実績を持つ。「自分らしさにOKをだして輝く女性」が増えてほしいという思いで活動中。日本化粧品検定特級コスメコンセルジュ。